エネルギーの技術をスマート農業に活用 未来の農作物を守るAg-MAC™

最新技術を使った“スマート農業” の拡大

日本国内では農業人口の減少、労働力不足が顕在化しています。さらに、昨今の気候変動の影響で栽培環境が急速に変化していることから、農業の現場では、ロボットやAI などの先端技術や農業データを活用し、生産性向上を図る “スマート農業”への転換ニーズが高まっています。また、スマート農業技術をより現場で広く活用するための「スマート農業技術活用促進法」が2024年10月に施行されました。今後はスマート農業の普及拡大が見込まれ、地域の雇用創出や新たなビジネスモデルの創出にもつながると期待されています。

ID&Eグループの技術を活かしたスマート農業無線IoTシステムを開発

これらの市場環境に対応するため、日本工営および日本工営エナジーソリューションズは、ID&Eグループの技術やノウハウを生かし、スマート農業無線IoTシステム「Ag-MAC™(エージーマック:統合環境制御システム)」を開発・展開しています。
Ag-MAC™は、農業ハウス内の温度・湿度をムラなく安定的に制御し、データの見える化と解析を実現するシステムです。農業ハウス内にセンサ装置や制御装置を取り付け、無線通信(LPWA)を活用しデータ収集を行い、そのデータをもとに、温度管理や肥料散布などの自動運転を行います。また、複数のハウスを一括管理することができ、設備に合わせたカスタマイズも可能です。
環境データの見える化や、作物に適した環境への自動運転により、生育のバラつきを解消し、余分な肥料の施用を削減します。さらに、スマホやタブレットでの遠隔制御や自動運転によって、農作業における⾝体の負担を軽減することにも寄与します。

また、リサイクル資源のポリエステル繊維に保肥性を高める人工ゼオライト、各種土壌改良材を特殊混合した人工培地「ポリエステル培地」を活用し「Ag-MAC™ポリエステル培地パッケージ」も展開しています。ポリエステル培地は、排水性、保水性、通気性、肥料の保持力などに優れており、環境制御型の栽培技術との相性が良いとされています。
2024年10月より、新規就農農業法人「農園むすび(静岡県掛川市)」と連携し、Ag-MAC™ポリエステル培地パッケージによるイチゴ栽培を開始しました。本パッケージを用いて、ハウス内外の環境データの収集とハウス設備の自動制御を行い、その有効性を評価しています。

日本工営と日本工営エナジーソリューションズでは、今後、増加が予想される未利用農業用ハウスにAg-MAC™ポリエステル培地パッケージを組合せたリノベーションサービスの展開を目指しています。
この取り組みは、生産規模拡張を目指す農業法人や新規就農者をターゲットとしており、販売や賃貸の仲介サービスを通じて農業用ハウス資産の流動化を図ります。

環境制御センサーボックス
実証中のイチゴ栽培

変電制御技術のノウハウを農業に活かす ~環境制御機器で育む理想の農業~

当社の専門分野である変電所の監視制御では、電圧や電流を細かく調整し、安定した電力供給を行うノウハウが求められます。この技術を、ビニールハウス内の温度や湿度、CO2濃度、日射量などを自動制御する環境制御機器にも応用しており、イチゴ栽培等においても大きな効果を発揮しています。例えば、温湿度センサがビニールハウス内の環境変化を検知すると、冷暖房や換気装置が自動で作動し、最適な成長環境を維持します。

この技術により、季節や天候の影響を受けにくくなり、安定した収穫をサポートします。さらに、熟練の農業技術がなくてもシステムによる自動制御で効率的に栽培できるため、新規就農者の参入ハードルを下げる効果も期待されています。環境制御技術を活用したスマート農業は、日本の食料自給率向上や農業の持続可能性を高める有力な手段となるでしょう。

VOICE

本業務は、日本工営エナジーソリューションズとしてユニークな挑戦です。変電の監視制御技術を駆使し、施設園芸業界への新たなビジネス参入を目指します。
施設園芸における環境制御技術は、高齢化による後継者不足や就農者の減少を背景に、今後の農業において不可欠な存在になると見込んでいます。当社では、コア技術を活用し、農作物に最適な栽培環境を提供する装置の開発に注力しています。当初は、農業に関する知識が乏しいメンバーでのスタートでしたが、農業関係者との交流や展示会への参加、研修や講習を通じて、生の声を反映させながら必要な知識や経験を積み重ねてきました。これまでにキュウリやパプリカといった野菜の栽培に挑戦し、成功することができました。現在は、イチゴの栽培を行いながら、環境制御機器の実証試験を進めています。これまでの研究開発により、環境制御の機能も安定し、最適なハウス内環境を維持することが可能となりました。
今後は、標準パッケージの環境制御機器に加えて、お客様のニーズに応えるカスタマイズサービスを提供していくために、製販一体となった販売展開や、さらなる付加価値の創出を通じて、当社独自の製品を開発していく所存です。どうぞご期待ください。

日本工営エナジーソリューションズ株式会社
制御システム部課長 佐久間 英崇
制御システム部 遊佐 尚弥
制御装置部 渡辺 凌

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