ベトナム初の地下鉄 ホーチミン市都市鉄道1号線が開通

渋滞の街に初の地下鉄が誕生

日本工営がコンサルタントとして事業に参画しているホーチミン市都市鉄道1号線(MRT: Mass Rapid Transit1号線)が 2024年末に開業しました。
ホーチミン市では、急速な人口増加や経済発展に伴い市内での二輪車および四輪車が増加し、交通渋滞の深刻化、交通事故の増加、大気汚染の悪化等の問題が生じています。都市鉄道1号線はこれらの社会課題を解決する最優先路線として位置づけられ、独立行政法人国際協力機構(JICA)による円借款事業により2008年から整備が進められてきました。
ベトナムの都市鉄道としては首都ハノイの2路線に次ぎ3路線目ですが、地下鉄が開通するのはホーチミン市の1号線が初となります。また、日本工営にとっても都市鉄道分野への本格参入を図った最初の大型案件です。市の中心部の3駅は地下駅、11駅は高架駅として、ベトナム最大の都市ホーチミン市の中心部にあるベンタイン駅から市の北東部に位置するスオイティエン駅まで延長19.7kmを約30分で結びます。

ホーチミンメトロ1号線の路線図

日本工営はコンサルタント共同企業体の幹事会社として、整備開始の2008年から同路線の事業全体(土木・建築・電気・軌道・信号・通信、車両)を対象に、基本設計、詳細設計(1駅)、入札支援、工事中の施工監理、開業前トレーニングまでのコンサルタント業務を行ってきました。

工事中の様子
電気システムの制御設備。1号線は最先端の無線式列車制御システム(CBTC)を使用した信号システム、列車無線などの通信システム、受変電設備が用いられている。
ベンタイン駅のトップライト。外部の自然光を地下駅に取り込み、構内を明るく照らす。ベトナムの国花である蓮の花をモチーフにしたデザイン。
スオイティエン駅。駅には転落防止に役立つプラットフォームのスクリーンドアが導入され、バリアフリーの工夫も盛り込まれている。
バーソン駅。地下区間駅の出入口は、駅ごとに周囲の街並みに合わせたデザインとなっている点も見どころのひとつ。

2025年3月には、ホーチミン市でグランドオープニングセレモニーが行われました。ベトナム側からは中央・地方政府高官らが参席し、改めて日本政府や日本企業による支援に対して感謝の意が述べられました。
また、雑誌「タイム(TIME)」が発表した「World’s Greatest Places 2025」に、ホーチミン市都市鉄道1号線が選出されました。渋滞改善・交通インフラ整備に向けた成果、観光地へのアクセス向上などが評価されています。

セレモニーでのテープカットの様子。

今後も公共交通機関の発展に貢献

現在、日本工営では、2029年までを想定としたホーチミン市都市鉄道1号線運営会社(HURC1)への運営アドバイザリー業務を担い、運営会社職員の技能向上や安全で健全な運営維持管理の為の支援を行っています。今後も、本事業で培った経験を活かし、ベトナムをはじめとする世界各国の公共交通機関の発展に貢献していきます。

担当者インタビューは以下の動画よりご覧ください。

  1. ホーム
  2. プロジェクト紹介
  3. ベトナム初の地下鉄 ホーチミン市都市鉄道1号線が開通
ページトップへ戻る