長野県営初の水力発電所の再生へ 美和発電所

長野県営初の水力発電所の大規模改修

長野県の電気事業として最初の水力発電所として1958年から運転を開始した美和発電所。多目的ダムである美和ダムから発電用水を取水し発電を行う発電施設として、長年地元の暮らしを支えてきました。
美和発電所は運転開始から65年以上が経過し、老朽化に伴う多くの機器の経年劣化や耐震性の課題がありました。また、美和ダム再開発事業に伴う洪水調節機能強化により 、従前からの運用変更を踏まえた改修の必要性が生じていました。
この運転開始以降初となる重要な大規模改修事業に対し、日本工営エナジーソリューションズは発電事業やEPC※1の実績・経験、新技術の導入、ワンストップサービスの強みを提案。これらの提案が評価され、2020年から本プロジェクトを手掛けています。

  • ※1EPC:設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含む、プロジェクトの建設工事請負契約。
美和ダムと美和発電所

強みであるワンストップサービスを提供

この大規模改修は、発電所に加えて取水口や放水路、送電線なども改修や補修の対象となっていました。そこで本工事ではEPC方式が採用され、日本工営エナジーソリューションズが設計から施工までをワンストップで請け負うこととなり、発注者の負担軽減、コストダウンおよび工期・発電停止期間の短縮を実現しました。発電設備および美和ダムの取水設備については再生可能エネルギーのFIT制度※2(固定価格買取制度)の新設区分を活用しています。

  • ※2FIT制度 :日本の再生可能エネルギーを普及・拡大させることを目的に、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。

美和発電所は2022年2月から運転を停止していましたが、ワンストップによる工期短縮も奏功し、2025年5月に運転開始を果たしました。この度の改修によって長期間運転が可能、かつ発電効率が向上し、既存の使用水量で最大出力は800kW増の13,000kWとなりました。改修前は約12,500世帯分の電力を供給していましたが、改修後は約13,200世帯分の供給が可能になり、これは、美和ダムがある伊那市の半分近く(47%)が賄える量となります。
設計や施工時に、運用まで見据えた長寿命設計や生態系保全を考慮しているほか、保守管理の省力化のため、現場で機器に向けてタブレットをかざすと機器や運転状況を確認できるAR(拡張現実)技術を導入しています。
発電所建屋には窓越しに発電機を見ることができる見学スペースを新設。水力発電の仕組みを学べる展示施設も設置しています。

発電所内部

自然と調和したエネルギーを追求

東日本大震災後、再生可能エネルギーの重要性がますます認識されるようになり、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、再生可能エネルギーの導入や新たな技術開発の機運が高まっています。それに伴い当社グループのレガシーである水力発電事業への取り組みが再評価され、日本工営エナジーソリューションズにおいてもEPC案件の取り組みが増加しています。
日本工営エナジーソリューションズでは、こうした水力発電技術のほか、日本より再生可能エネルギーの導入が先行している欧州において、蓄電池を用いた事業を進めています。これらの知見を活かしながら、EPC(設計・調達・設計)から運営に至るまで、多様なエネルギー関係のワンストップサービスを提供することで、お客様のニーズに沿ったソリューションを展開してまいります。

VOICE

日本工営エナジーソリューションズは電力インフラにおけるワンストップサービスが強みですが、本プロジェクトでも構想から製作、施工まで行っており、私が担当した機械設備にも土木・電気・建築工、と様々な分野が含まれていたため、各部署・関係機関との連携が重要でした。各所との調整を行いながらも幅広い知識や貴重な経験を得ることができた点や、「ワンチーム」として「もの」を創り上げたことに非常にやりがいを感じています。
私はエネルギー事業を通じて、自然の力を最大限に活かし、未来へつながる持続可能な社会を築くことに全力を注いでいます。地球と共に生き、自然と調和したエネルギーのあり方を追求すること、次の世代へ誇れる世界を残すことは、私たちの責務であり、同時に大きな誇りでもあります。新たな可能性を切り拓き、未来に確かな価値を創り出していく挑戦が、より良い明日を築く力になると信じています。

日本工営エナジーソリューションズ
エンジニアリング&マネジメント事業本部
機電・情報インフラ事業部 機械・発電プラント部
仲佐 旺子

日本工営エナジーソリューションズは創業からの強みを活かし、水力発電事業において「ワンチーム」として動ける体制を築いてきました。水力発電事業のワンストップサービスは、当社のレガシーであり、様々な分野の技術者が関わる事業です。この中で、私たちは電気を使う皆様やお客様の意見を尊重し、技術者との間でバランスをとりながら、公平で信頼性の高い技術を提供できる会社でありたいと考えています。また、水力発電のみならず再生可能エネルギー全体においてワンストップサービスを提供できる会社として成長を続けたいと考えています。

日本工営エナジーソリューションズ
エンジニアリング&マネジメント事業本部
電力インフラ事業部 電力土木部長
小宮 宗典

担当者インタビューは以下の動画よりご覧ください。

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