「タイの駐車場の新しい形」、ビッグデータでスマートシティにおける駐車場利活用を推進
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CHALLENGE
日本工営は、タイのスマート駐車場プラットフォーム事業会社 Jowit Global Co., Ltd. (以下「Jowit Global 社」)への出資を通じて、タイにおける交通事業分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目指したスマート駐車場プラットフォームの本格運用並びに駐車場利用ビッグデータを活用したデータインサイトビジネスを開始しました。
2024年1月19日調印式の写真



急激な経済成長をとげるタイの首都であるバンコクの面積は国土の約0.3%ですが、人口は集中しており、高密な都市となっています。自動車保有台数も増加の一途を辿っており、交通渋滞問題と排気ガスによる環境負荷は社会課題として認識されています。
タイ政府による気候変動マスタープラン(2015-2050)でも、駐車場料金施策や公共交通と駐車場を活用したパークアンドライドの促進など、駐車場利用を含めた自動車利用行動の変容に関する取り組み方針が示されています。路上駐車、駐車場待機や駐車場探索の軽減による交通渋滞を解消するためには、今までにない新たな駐車場の利活用が求められています。また、タイ政府は電気自動車(EV)の生産・普及を支援しており、タイの新車販売台数に占めるEV割合も16%まで高まっています。EV充電ステーションはほとんどが駐車場に設置されるため、駐車場自体の高度化・多目的化が期待されています。
SOLUTION
Jowit Global 社のプラットフォーム×日本工営のデータ分析アルゴリズム
Jowit Global 社はタイ発のIoT企業群InStep Group傘下の企業で、2017年に創設されたスタートアップ企業です。タイの駐車場運営を中心にしたハードウェア・ソフトウェア開発を行っており、2024年1月時点で、バンコク都市圏に29箇所の駐車場を運営しています。一般的なタイの駐車場管理運営手法とは異なり、駐車場の電子決済システム(駐車場QRコード決済)の開発や、金銭収受業務の効率化、提携店舗との連携を強化するe-Stampの開発(タイ初)など、先進的なシステムを積極的に導入し、省人化・効率化を推進しています。

現在、両社はクラウドを活用した駐車場利用実態データのリアルタイム連携システムを構築しており、日本工営は、駐車場利用者ビッグデータに基づくデータインサイトの利活用を通じて、駐車場の稼働状況を改善し、事業を高収益化することを目指しています。一方で、Jowit Global 社は駐車場管理のハードウェアとソフトウェアの開発並びに変更を柔軟に対応できる技術力を保有しており、駐車場サイトでの決済システムの高度化を進めています。今後は、両社の連携により、ユーザーアプリを通じた利用者へのリアルタイム情報提供、ダイナミックプライシングの導入による駐車場利用調整・促進などの施策を講じていくことで、バンコクで深刻な交通渋滞の緩和に寄与することが期待されます。
今後の事業展開
都心部の一極集中から郊外へ経済圏の拡大、発展エリアの分散化が進んできたバンコクでは、コロナ過によるリモートワークの促進等人々の行動様式の変化に伴い、都市施設としての駐車場の在り方自体が今後大きく変更していくことが考えられます。Jowit Global社はこの動きを好機と捉え、既に各事業パートナーとの連携で、駐車場エリアでカフェやスナックを提供するF&B事業、洗車事業、ランドリーサービス事業等を展開しており、今後は郊外部の各コミュニティのハブ機能を有する駐車場開発(POD=Parking Oriented Development)を進めていく計画です。

日本工営は国内外においてモビリティデータ活用による渋滞緩和による知見を集積しています。タイでは、デジタル技術を有するJowit Global社との連携を軸に、タイ政府・自治体や大学等が主導するスマートシティ関連事業やTOD (Transit Oriented Development)事業にも今後積極的に参加していく予定です。
今後も、タイをはじめとするアジア各都市でデジタルを活⽤しながらインフラやまちづくり⾼度化を推進し、持続可能な街づくりに貢献してまいります。